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まえがき
はじめに
いじめ被・加害者の予知発見とサポート
MHIサポート
予防(自学の習慣化)
事例
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 ・ 児童・生徒らのいじめ被害・加害を予知発見するには、彼らの主観的のメンタルヘルスを理解することができる、「お元気ですかアンケートによるMHI(メンタルヘルスインデックス)調査」を実施する必要がある。

 Microsoft社のWindowsを内臓するパソコンを用意し、本書末尾のCD-Rを挿入し、「MHI小学生用ファイル」、「MHI中学生用ファイル」および「MHI高校生用ファイル」から、対象者用のファイルををディスプレーする(付表1)。

 付表1がディスプレーされたパソコンを対象者の前に置いて、このアンケートは私たちの心とからだの健康づくりと、楽しくなる学校生活をめざして行われるものです。人に相談せず自分のありのままを数字で答えて下さい。と説明し了解を得た後、回答は、回答欄の赤い0の上に上書きするよう要請する。対象者は、パソコン画面の質問を読み、マウスを使って、回答数値を解答欄へ順次入力する。小学生(4,5,6年生)は 15分、中学生は10分、高校生は5分ほどで終了する。すると、次ページに、「MHI調査結果」(付図1)がディスプレーされる。付図1を印刷する。

 ・ MHI3),4),5)とは、「心身快調感3)」、「部活動は楽しい3)」、「友だち重視3)」、「勉強志向3)」、「学校は面白い3)」、「学校関係の精神安定感4)」、学校親和感4)、否不登校感4)」、「友だち関係の精神安定感5)」、「友だち親和感5)」および「否いじめ被害感5)」という11のMHI(メンタルヘルスインデックス)であり、特に低い≦35<低い≦45<普通≦55<高い≦65<特に高い、と評価することができる。MHIの特性からいじめ被・加害の予知・発見ができるのである。

  いじめのサポートは、以下の順に従う。

 ・ 相談: MHI調査により発見された、いじめ被害・加害者が所属するクラスまたは部活動部員を対象とする、教育または健康相談を行い、いじめの構造を把握・理解する。集団の相談ができない場合もある。いじめ被害者の相談には、いじめ以外の理由(アトピー性皮膚炎など)により継続面接を約束し、サポートの機会を確保する。

 ・ 理解と指針: 被支援者のMHI情報*(摘要)を並列的に検討・考察・統合して理解を深め、サポートの指針をたてる。

 ・ サポート: 理解と指針に基づいて行う。

 ・ サポートの中止: MHI情報と相談情報の不一致が多く、面談において、言動に違和感があり、精神・心理状態を理解することが困難である場合は、その理由を記載して小児精神科へ紹介する。3カ月サポートを行い改善がみられないときは中止し、経過を記載して小児精神科へ紹介する。薬物治療と精神療法が平行して行われるであろう。

 ・ サポートの判定: サポートを行った後、MHI調査を実施し、11のMHIと質問回答数値の変化から判定する。

*(摘要)
MHI情報は、主観情報と客観情報とから成る。主観情報は、MHI質問の回答と11のMHI情報である。これらは本研究の基本情報であり、環境や教育の変化に妥当性が認められ、児童・生徒理解、問題行動者の予知発見とサポートの判定に有用性(限界)のある指標である(MHIマニュアル.前橋.上毛新聞社2002)。客観情報は、クラス担任教師観察面接情報、母親接触情報、およびサポーターの相談情報である。担任教師の情報は多岐にわたり重要である。この情報量が少ないケースに問題行動が潜んでいる場合がある。母親の情報は性癖の理解に有効である。

 調査した1例を付表1付図1に示した。付表1は対象者の回答である。付図1は本システムのMHI情報である。11のMHI(メンタルヘルスインデックス)は、50(普通)を中心とする円形を示した。アンケート回答数値において、メンタルヘルスに負を示す回答は、体重・食事の悩み、眠くて起きられない、将来の悩み、であった。本ケースのメンタルヘルスは普通であることを示した。

 
1.1.1. いじめ被害の予知・発見5)
  否いじめ被害感指数が、46〜50のとき予知、36〜45のとき発見、35以下のときは、いじめが深刻であると判定する。

1.1.2. 理解と指針
  被害者を理解するために、自分の心の世界に舞台を設け、被害者を主人公とする、被害者のMHI情報(*1.いじめの予知発見とサポートの章参照)の劇を演じさせて統合し、理解を深めサポートの指針をたてる。(2.1.1. 理解と指針の項参照

1.1.3. サポート
  サポーターは、授業や部活動と直接関係のない養護教諭または学校医が適している。1対1で、プライバシーが守られる学校外のおだやかな雰囲気の施設において行う。

 サポートの基本は、休養、プレゼンス(人がそこにいる事)と傾聴である。理解と指針に基づく共感的の非言語的から言語的コミュニケーションを行う。精神・身体行動を受容し、支持し、保証を与え、要求に応じて説明し、必要に応じて諭し共に学ぶのである。これを継続すると、被害者は、安心、共感、肯定的自己イメージ、信頼、意欲、自信を学び、いじめ被害から立ち直るのである。(2.1.2. サポートの項参照

 いじめ被害者は、心身不調と気力低下という生命活動の低下を持つ“うつ”傾向であるので、心身の休養が必要であり、叱咤激励は禁物である。指導・助言がトラウマとなり、自殺に追い込むことがある。うつが強い場合は、行きたくなければ登校しなくてよいと指示する。この一言で絶望感が解消することがある。母親にやさしく食事や着衣の世話をして心身の休養を保つことを要請する。面談が困難である場合は、E-Mailか手紙でコンタクトをはかり、様子をみて、面接によるコミュニケーションの機会をつくる。

 いじめ被害者は、教師や友だちとのコミュニケーションがうまくできず、孤独で、いじめに堪え忍び、冷静に周囲を観察し、反抗しようとするが行動にまで至らない。自尊心が強く、平静をたもとうとし、教師や親の助けを求めようとしない。サポーターは、孤独感、悩み、不安などを受容し、非言語的・言語的に共感して、自分を温かく支えてくれる人がいると思うようにすると、被害者は安心する。このような共感するサポートの重積から肯定的な自己イメージを学び、自分の考えを少し発言するので、発言を支持し保証を与える。支持・保証は心地よく、心と心のつながりを実感するであろう。この継続から、信頼を学び、諭しを受け入れて、コミュニケーション能を発達させる。信頼から意欲が生まれて自信を学び、自信の価値の認識から、サポーターへの尊敬心が生まれる。自信の自覚は、自立をうながし、友だちと接触し、自己の意見を他者に伝え、他者の意見を理解して社会化を学ぶのである。

 多くのケースにおいて、信頼関係が深まり、被害者がこの人なら頼りになると感じるようになると、いじめの状態を少し打明けるのである。この場合、サポーターは、うち明けた心をわが心とし、苦しみに共感し同情をもって支持し、心が安らぐようにするのである。
 
1.2.1. いじめ加害の予知・発見6)
  友だち重視と学校はおもしろい、という2つのMHIが46〜50のとき予知、2〜3のMHIが、45以下のとき発見と判定する。

1.2.2. 理解と指針
  いじめ被害者の場合と同様である。次に、理解した情報をクラス担任、教科担任と養護教諭に提示し、意見交換を行い、問題点の共通理解をはかり、サポートの指針をたてて、共通のサポートを行う。(2.1.1. 理解と指針の項参照

1.2.3. サポート
  サポーターは、クラス担任、教科担任および養護教諭である。授業、部活動または保健室の場において、正当の行動に共感的理解を示し、まなざし、声かけ、握手などのコンタクトを用いて支持し、正当の考えに保証を与えることを継続する。これにより、安心・共感・信頼・自信を学ぶのである。安心・共感から、肯定的な自己イメージを学び、信頼から他者認知、自信から自己認知を学び、思いやりを学ぶのである。(2.1.個人のMHIサポート2.2.家庭のMHIサポート2.3.学校のMHIサポート2.4.地域のMHIサポート4.2.いじめ加害事例参照

 現今のいじめ加害を、社会化発達の相互作用と捉えて、管理・監督・指導を行うことは、危険であり、成果もない。陥りやすい誤りは、加害者への指導や体罰である。これらは、加害者を自殺や他殺に追い込む危険がある。加害者も、感情の発達の歪みにより、うつ状態におちいっているのであるから、質問・指導・体罰などは、衰弱した心に鞭を打つことになるのである。